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整体学校の選び方⑥整体学校の本音

20数年この整体業界に身を置いてきてつくづく感じるのは、整体学校が抱える課題です。今風に言えば「闇」と言ってもいいでしょう。少なくとも私がこの世界に入ってきたときからこれらの課題や闇は存在していました。それから20年経っても、これらの課題は解消されるどころか益々大きくなっています。本当は業界を挙げて取り組むべき課題であり闇だと思うのです。

これから整体業界に入ってくる人には、このサイトに縁あって辿り着いたあなたにはぜひ「整体学校が抱える課題」について知っておいてほしいと思います。それが「最良の選択」に繋がるからです。

 

★整体学校の課題その1 卒業生が食べていけていない

もしあなたが入学を検討している整体学校があるならば、「卒業生のその後」の聞き取りをみてください。一部の成功している「卒業生の声」ではなく、上手くいっていない人も含めた全体像です。卒業後何割の生徒が「整体師として食べていけているのか」「家族を養えるほどの収入を得ているのか」5年後、10年後の状態を聞いてみてください。おそらくほとんどの学校がデータを出せないと思います。なぜなら5年後、10年後には大多数が廃業、転業しているからです。整体学校はそういう事実は伏せたまま、あるいは見向きもしないまま、毎年大量に生徒を集め、卒業させています。卒業生がその後どれだけ苦しい生活をしていようが、そこには何のケアもありません。

 

★整体学校の課題その2 整体学校の数が多すぎる

なぜ整体学校の卒業生のほとんどが食べていくことができないのか。それは簡単な理屈です。病人や不調者に対して整体師が供給過多なのです。つまり整体師が多すぎるのです。

 

整体師が世の中にあふれだしたのは、2000年の初めのころです。当時は平成の時代で「癒しブーム」が起こっていました。それまでの整体と言えば「いかつい先生」が「殺風景な密室」で「バキボキと身体を押したり曲げたりする」ちょっと怖いところでした。

それがテレビなどメディアがさまざまなマッサージを取り上げたりして整体ブームになりました。そして整体師に興味を持つ人が増え、そのニーズに応えるために整体学校が雨後の筍のように一気に増えました。

その流れで今も整体学校は増え続けています。整体師になりたいという人が沢山いるので、学校を経営すれば儲かる、そんな側面もあると思います。こうして需要は変わらないのに供給ばかりが増え続け、年々競争が激しくなり、整体師の暮らしは成り立たなくなっています。

 

★整体学校の課題その3 現場で本当に使える技術を教えない

整体学校が増えすぎていることも問題ですが、それ以上に深刻なのは「整体学校が現場で本当に使える技術を教えていない」ことです。実際に整体学校の卒業生をスタッフに雇っても、ほとんどの場合「一から教え直し」になります。学校で習った技術がほとんど現場では通用しないのです。

学校で習う技術は(いくら整体学校が「すごい技術」とPRしようが)現場ではあまり使い物になりません。なぜなら先生の見本を生徒が真似て覚えるマニュアル授業だからです。マニュアルが通用するのは同じ対象物(人)だけであって、異質な人間、つまり違う体質を持つ人がやって来る現場では通用しないのです。

マニュアルはもちろん大事です。しかしマニュアルと同時に、相手の体質に応じたさまざまな応用法まで教えることが本当は必要なのですが、それができる先生も環境も整体学校にほとんどありません。

 

★整体学校の課題その4 実際の経営で必要なノウハウを教えない

整体学校で教えるのは「解剖学」などの理論と、整体技術です。つまり理論と技術だけです。しかしそれだけでは、実際に整体院を開業したときに大変に困ることになります。

整体院の院長は、施術を行うだけではありません。理念という院の方向性を打ち出し、ホームページ等で公開していく必要があります。院の立地や院内の内装によっても経営が大きく左右されます。困っている人たちの心に響く整体メニューをつくるのもなかなか難しいもの。またこれだけ過当競争になってくると集客は超重要なテーマです。また新規客を集めるだけではなく、一度来たお客さんにファンになってもらい必要ならばリピートしてもらわなくてはなりません。逆にクレームなどを予防し、対処法も知っておかないと大変なダメージを追うことになります。またスタッフを雇うならば、長く前向きに働き続けてもらう為の教育も大事です。

このように整体院経営を行うには知っておくべきノウハウは山ほどありますが、ほとんどの整体学校はそれを教えてくれません。現場の経営を行っていないか、行っていても上手くいっているところはそう多くはないのですから、教えようがないのです。

 

★整体学校の課題その5 国家資格者も巻き込まれている

上記1~4については2000年の初めころから徐々に深刻化してきましたが、この数年でさらに状況が加速して悪くなりました。それは柔整師や鍼灸師、理学療法士などの整体業界への参入が原因です。

ただでさえ供給過多であった整体業界に、何万、何十万人もの国家資格者たちが参入してきました。彼らの業界も整体業界に遅れて「学校の乱立」があり、医療系国家資格者の人口が急激に増え続けているのです。そして新たな収入源を求めて民間の整体業界にまで進出が続いています。

本来ならば整体学校も、柔整学校も、鍼灸学校も、理学療法士養成学校も数の制限をすべき段階です。どう考えても整体師の数が多すぎるからです。しかし残念ながらいまだ学校削減の動きは見えてきません。つまり今しばらくは、各種学校が生徒を集め続け、卒業生を整体業界に送り続けます。これまでの卒業生たちの苦難など知らぬ顔で。

 

★整体学校の課題まとめ 学校もビジネスであるという現実

このページで書いたことは多少厳しいことだったと思います。中には「整体師になろうと夢見ていたけれど、その気が無くなった」という人もいるかもしれません。それならば申し訳ないし残念にも思いますが、それでもやはり誰かが現実を伝えないといけないと思います。現実を知らないで決断するのと、知ったうえで決断するのでは、その後が全く違うものになるからです。

確かに今の整体業界は過当競争で厳しいものです。そしてこれからしばらくはますます厳しさを増していくと思います。

 

しかしその一方で、世の中に目を向けると、病気や不調で困っている人は沢山います。病院でも治らない。あちこちの整体院でも治らないと悩んでいる人は本当に沢山います。その人たちをどう救うのかと考えた時、今の厳しい整体業界にも一筋の希望が見えてきます。

 

というのは、技術の革新というものはすべからく「厳しい競争」の中で生まれるものだからです。スポーツでも科学技術でもレベルの高いライバルたちがいて切磋琢磨するときに「進化」が起きます。生存が危ぶまれた種族にも「進化」が起きます。まだまだ医療も整体も救えない人たちが沢山いる中で、今私たちが生き残りをかけて懸命に働き技術を磨くことが「整体の進化」を生み出すことにつながるのではないでしょうか。

 

 

もちろんだからと言って整体学校抱えている様々な「闇」を放置していいはずはありません。しかしあなたがここで書かれたことをしっかりと考え、周りに流されないで自分の信じる道を歩んでいくならば、それが結果として整体業界の改革につながっていくのではないか、私はそのように考えています。