私は音感やリズム感が悪いので歌もダンスも苦手です。何年やってもスキーは思うように上達しないし、人の名前を覚えたりきっちりと計算するのも不得手です。足は長くないし容姿もいまいちです。でも整体だけは手応えを感じています。
28歳で脱サラしこの世界に入った時に「どうせやるならゴッドハンドになる」と自分の中で決めました。そして一心に整体に打ち込んできました。食べていても休んでいても考えるのは整体のことばかり。うまくいかなかった施術を何度も思い返しては「次にどうやったらうまくいくだろう」とあれこれ思案し研究を重ねました。たぶん夢の中でも思案してきたんじゃないかな、と思うくらい整体漬けの20余年を過ごしてきました。
私が整体師になった発端は、「百姓はわしの生きがいや」との祖母の一言でした。畑で何の前触れもなくふいにそんな言葉を吐き、その黙々と玉ねぎを引き始めた祖母は、その年の暮に病気で亡くなりました。祖母への最後の見舞いの帰り道、私は「整体を生きがいにする」と決意しました。
「生きがい」。なんと遠く深く、そして温かい言葉なのでしょうか。人はいつか必ず死にます。死ぬときには地位や財産がいくらあろうが何の価値もありません。思うにこの世を去り行く瞬間に、その震える心を温めてくれるものは「見送ってくれる家族・友人」と「充分やりきった」という生きがいしかないなのではないでしょうか。
この地球上には70億人ほどの人間がいるそうですが、「生きがい」を求めて真摯に生きている人がどれだけいるでしょうか。自分の仕事に曇りなき夢を追い働き続けている人がどれだけいるでしょうか。もしそうでないならば、せっかく生まれて来たのにもったいないことだと思います。
私は整体しかできません。しかし整体だけは誰にも負けません。整体は私の生きがいなのです。
1996年 大阪外国語大学卒業、(株)コマツ入社
2001年 (株)コマツ退職、桜井寛氏に師事、ナショナル整体学院入学(のちに中退)
2002年 整体院「心斎橋たんりき」開業
2007年 屋号を「わごいち」に改名、処女作『おなか美人ダイエット』(中経出版)刊行、スタッフ教育に徒弟制を導入
2011年 「三宅式整体塾」開講
2012年 「三宅式整体塾」を「腹育道場千照館」に改名
2017年 「腹育道場千照館」を法人化し「丹足普及協会・千照館」に改名
2020年 『おなか白湯もみ健康法』(ワニ・プラス)刊行
2021年 『整体院経営百科』(アートビレッジ)刊行
2022年 『おなかの詩』(自主製作詩集)刊行、「おなかの学校」開講
2023年 『最強の睡眠力』(青萠堂)刊行、「わごいち整体アカデミー」開講